初台から

初・新国立劇場がシティボーイズとは思いませんでしたよ。
初日でもあり口外せぬようにとのことなので、具体的な描写は避けるが、これは、きたろうさんの新境地なのではないかと思った。
いや、決して冒頭の長台詞のトチリを言っているのではないですよ。
平幹二朗ばりの大きな芝居より、ぐっと繊細で、案外きたろうさんのニンに合っているのではないかと思う。

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北品川から

この人の作品は、森美術館で今やっている「万華鏡の視覚」展にも出てたね。
もう少し遡れば、オペラシティアートギャラリーでも見た。
とはいえ、今回の個展、最初、館内をぐるりと回って、作品をしけじけと眺めてみても、作家の含むところが伝わってこなくて、どうにもピンと来ないのだった。
受付でもらった簡単な解説を読むと、この人の仕事を、カンディンスキー以来の抽象芸術、あるいは60年代のオップ・アートの文脈に位置づけるような書きぶりで、理由はよく分からないが、その説明もなぜか釈然としない。

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恵比寿から

「おばあちゃん」という言葉は、自分の祖母を指すこともあれば、年配の女性一般をいうこともある。
ところが、英語で”Grandmother”というと、血縁の祖母に限られるのではないですか。
試みに、英語の辞書を引いてみよう。曰く、
“Your grandmother is the mother of your father or mother.”
手許の辞書にはそれ以外の定義はない。さっぱりしたものです。
つまり、”Grandmother”というからには、単なる老女ではない。まず”mother”にならない限りは、”Grandmother”になれないのだからね。

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東中野から

自分は監督でもコーチでもない、現役のプレーヤーだと言う小三治さん。
そう言われてみると、野球の監督やコーチは現役を引退した選手がなるものだが(古田のような例外はあるけれど)、落語家の引退というのは聞いたことがない(これも、当代圓楽のような例外はあるけれど)。
落語家は、師匠と呼ばれるようになっても弟子を取っても、芸人としては現役のまま。いわば選手兼任監督というところか。
サラリーマンのぼくには、定年も引退もない落語家がうらやましく思えるときもあるけれど、死ぬまで現役として修羅を燃やして生きるのもつらいことだろう。

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六本木から

開演前に場内配布のプロフィールを見ていたら、「吾妻橋ダンスクロッシング」には全公演出演、とある。
吾妻橋は近所なおかげで、「吾妻橋ダンスクロッシング」(長いので以下ADXと略すが)は、多分2006年くらいからは大体見ていると思う。ということは、少なくともそれだけの回数、この人のパフォーマンスを見てきているのか。
今回の公演は、ソロパフォーマンス・ベスト・ライブ、というだけあって、これまでADXで見たことのあるものも多かった。

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