宮古島の泡盛とさんまの味付け缶詰

夜になるとお酒を飲みたい。
知っている店もいいが、どうせなら知らない街の知らない店に行ってみたい。
知らない店で、知らない女とめぐり合いたい。
まあ、それはともかくとしてもですね。
知らない街に行くとなると交通費も宿泊費もかさむので、せめて知っている街でいいから、知らない店に行ってみたい。
そこでおいしいお酒が飲めて、おいしいものが食べられれば、なおいい。
今夜の一軒目、錦糸町は通称ダービー通りにある「T」。
個人で錦糸町の食事どころを紹介しているページがあって、そこに出ていた店。「古いタイプの魚中心の居酒屋で安い」とある。期待できそうだ。

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干し芋モソモソ

ゆうべ、久し振りに神田の新八に行ってきた。
正直言ってあまり気乗りのしない会社の人たちと一緒でも、つまんない見掛け倒しのレストランに行くよりは、こういう居酒屋だとワクワクしますな。
というか、近場で無難な店ということで私が選んだわけです。
4人で飲み食いしたら結構な金額になってしまったけど、多めに出してくれた人がいて助かった。ま、それを期待してたところもあったんだけど。
お酒は、神亀ひこ孫のナントカとカントカと、小笹屋竹鶴のナントカを一杯ずつ飲んだ。
相変わらず銘柄を覚えられないぼくには、酒飲みの資格はありませんな。
前に会社の別の人をこの店に連れてきたときは、上の人たちが安い焼酎の水割りを頼むものだから、ぼくだけ日本酒を飲むわけにもいかなくて閉口した。
今回はうまく自分のペースに引き込んで、お酒をいろいろ飲むことができてよかったです。
しかし、その後、行儀の悪いぼくは、案の定、錦糸町でひとり飲み直したのだった。
えっと、まずビール飲んで、ライ・ウイスキーをショットで飲んで、またブラディ・マリー飲んで、締めに黒ビール飲んで。それだけだったかな?
おかげでやっぱり、少し酔っ払ってしまった。
が、今回は帰りにラーメン屋などに行かなかったぞ。
コンビニには寄ったが、なぜか干し芋を買ってうちでモソモソ食べていたぞ。
まあ、ラーメンよりは干し芋のほうがマシでしょう。
このあたりに、われながら成長の程がうかがえる。

SMっぽいの好き

ここしばらく、近所の歯医者に通って歯石を取ってもらっている。
先々週から通い始めて、これまで3回診てもらった。
最初は1、2回も診てもらえば済むかなと思っていたのだけど、前回の帰り際に、今度の予約はどうしますかなんて聞かれたということは、まだあと何回か来ないといけないのだろうか。
といっても、歯医者に行くのが別にイヤなわけじゃなくて、むしろもうしばらく歯医者通いを続けたいくらい。
実は、いま診てもらっている先生が女医さんで、そうねえ、年はぼくと同じくらいか。それで、その先生が、ぼく好みの、結構ぐっとくるタイプなのです。
当たり前なんだけど、歯はキレイ。そりゃ歯医者さんだし。
そういう素敵な人に、唇をぐいっと押し広げられて、奥の奥まで覗き込まれて。
誰にも見せたことのない部分が丸見えの写真まで撮られて(歯のレントゲンを撮られた)。
電気仕掛けの道具がギューンって音を出しながら敏感な箇所に押し当てられて。
あんまり激しくって血が出てきちゃった(歯ぐきが炎症を起こしていた)。
という、ほとんどSMじゃないかっていうくらいの勢いですが。
そうか、歯医者ってのはいいところなんだ、っていうのが、この年になってわかってきた。
この楽しみは、お子様にはわからないだろうなあ。
今度はいつ診てもらおうか、楽しみで楽しみで。
診察室で、もうひとりのおじさんの先生が出てきたら、急用ができたって言って帰ります。

飲み過ぎの夜、睡眠不足の朝

ゆうべは居酒屋で生中を3杯と酎ハイを1杯飲んだ。
二軒目のバーでジントニックとブラディーマリーとバーボンをロックで2、3杯飲んだ。
月曜にしてはいささか飲み過ぎである。
しかも、そのあと、うかつにも駅前でラーメンを食ってしまった。
おまけにコンビニでレトルトのスパゲティを買って食ってしまった。
あれだけ飲んだ後ラーメン屋に寄らないのが鉄則と書いておきながら、あっさりとラーメン食っちゃうんだからなあ。
激しく反省の朝なのである。
こうなったら今夜はエアロバイクを2時間漕がないと。
静かに決意の朝なのである。
一軒目の居酒屋は、店の雰囲気もよく料理もおいしいのだが、残念なことにお酒の種類があんまりない。お客はみんなビールかいいちこばかり飲んでいる。
これでお酒の揃いがよければ、居酒屋好きの皆さんにもお奨めできるんだけど。
酔っ払ってベッドに倒れこんで、気がついたら午前2時だった。
小雨交じりの、ならぬ、雨は降っていないが、大風が吹いている。
いつスイッチを入れたのか、ラジオがつけっぱなしになっている。
目を閉じて、半死半生ならぬ、半睡半醒の状況で聞いていた。
ラジオではくるりの3人が喋っている。初めて聞いたけど、結構好感持てる人たちですね。これは今夜の発見。
女性ボーカルで、メロディーは単調だけど勢い良くて、ニューウェーブっぽい曲がかかっている。いい感じだなあと思ったけど、なにぶん半睡半醒なもんだから、曲名もアーティスト名もさっぱり覚えていない。朝になってJ-Waveのサイトで昨日の選曲リストを見たけど、全然わからないぞ。
ということで、だらだらと聞くでも聞かないでもなくラジオがかかっていて、そのうちにくるりの番組も終わって、うとうととするうちに、いつの間にか鳥越さやかが喋っていて、またうとうととするうちに、ジョン・カビラに替わっている。
おいおい、こんな中途半端な寝の状態で会社に行くのかよ。
という、飲み過ぎの夜、睡眠不足の朝。

新しいカメラ

新しいカメラを買ってしまった。パナソニックのLUMIX DMC-FX7。
きのう、錦糸町のテルミナの中の本屋に月刊ホークスを買いに行くついでに(余談だが、この本屋には毎月必ず月刊ホークスが置いてあるのでエライ)、1階のヨドバシのカメラ売場に寄ってみた。
最初は、発売日が明日だと聞いていたし、入荷状況と値段だけでも教えてもらおうかな程度の気持ちだったのだけど、応対した店員さんが、
「いま来たトラックで入荷したかもしれませんので、少しお待ちください」
と言うものだから、待たざるを得ないではないですか。
で、店員さんがさっそくトラックから持ってきた段ボール箱を目の前で開けてくれて。
まだ店頭にも展示していないのに。
結局、その日のうちに現物をもらって帰ってきた。
4年ぶりのデジカメ購入ということになる。
しばらく前からそろそろ買い替えをしたいなあと思っていて、いろんなサイトのレビューを見ていると、この機種の前評判が高かったんでね。
さっそく箱を開けてみた。
うーむ小さい。
うしろの液晶モニタがでかい。
このへんのことは、どこの記事にも書いてあることですよね。
実は、まだ1枚も撮っていません。ゆうべは手にとってじろじろと眺め回すくらいで。
このカメラのひとつ気になることは、ファインダーがないことで、今まで結構ぼくは、液晶モニタ付きのデジカメでもファインダーを覗いて写真を撮ることが多かったので、そのあたりの使い具合がどうなのかなという、若干の不安はあります。
まあでも、評判の手ブレ防止機能というのが、どの程度のものなのか。それを期待してる部分が大きいので、おいおい楽しみです。ということで。

ぼくの伯父さん

更新が滞っておりますね。はい。
理由はいくつかありますが、少なくともきのうに限ってはちょっと飲みすぎたなー。
高田馬場でひとりビールを飲み、錦糸町でひとりビールやバーボンなどを飲んでいた。
いずれもひとりというのが切ないですけど。
錦糸町のバーで飲んでいたら、ぼくくらいの年恰好の人(あるいはもう少し上かな)が、小さな男の子とダーツに興じていた。
てっきり親子なのかなと思っていたら、そうではなく、甥っ子なのだという。
なんでもその人の弟が、アテネに撮影に行って長期間日本を離れているので(どういう仕事なのだろうか)、その間子供を預かっているのだそうだ。
おじさんはビール、甥っ子はオレンジジュースを飲みながらダーツの矢を投げている。いい光景だ。
その子はまだ背が小さいから、まっすぐ投げても的に当たらないんですな。斜め上45度くらいの角度で投げないといけないから、なかなか矢が刺さらない。
小学校1年生なんだって。これがもう少し大きくなると、憎らしさが先に立つようになるのかもしれないけど、まだそこまでは行かない。
しかし父親じゃなくて、おじさんというのがいいじゃないですか。話のわかるおじさんがいるというのが、今さらながらうらやましい。
ぼくにもおじさんはいるけども、離れたところに住んでいたり、まあいろいろあって、あんまり打ち解けた関係にはならなかった。
それにぼくは一人っ子だから、ぼく自身、自分の兄弟の子供と遊んであげることは不可能なわけだし。まあ、奥さんの兄弟の子供という可能性はありますが、まず奥さんというのが全然見えない話だしねえ。
とりあえず今日はそんな話でお茶を濁しておきます。

5円切手

郵便局に5円切手を買いに行った。
正確にいうと、別に5円切手でなくても、5円分の切手が欲しかった。それを6セット。
ところで5円切手の図柄って、どんなのだか知ってます?
答えは「こぶはくちょう」。青一色刷りのシンプルな図柄である。
ちなみに3円切手は「ほととぎす」。1円切手は「前島密」。
知ってますか、前島密。日本の郵便制度の基礎を作った人ですね。
10円より安い切手の券種というのは、この三種類です。
といっても、普段ぼくらが目にするのは、50円や80円、あと、せいぜい90円切手というところかな。
5円切手なんて、滅多に目にするものではないから、そこらのコンビニとかでは売っていないだろう。
大きな郵便局に行けばあるんじゃないかなと思って、本所郵便局に行ってきた。
本所郵便局は、普通郵便局、いわゆる本局です。だから土曜日も3時までは営業しているし、時間外の窓口もある。配達記録の郵便物を受け取りに、休みの日の夜に行ったこともある。
ぼくが着いたのは土曜日の午後4時過ぎだったから、もう通常の窓口は閉まっていた。
さて、時間外の窓口で、バイトの兄ちゃんらしき若い男に、5円切手があるかと聞くと、ないという。では1円とか3円の切手はあるかと聞くと、それもないという。
3時まではあったという。え、3時で売り切れちゃったの?
そういうことではなくて、要するに、3時まで開いていた通常の郵便の窓口では、低額の切手も扱っているのだけど、時間外になると、切手を置いてある棚か何かに鍵をかけちゃうらしい。それで、時間外の窓口では、売れ筋の(と言っていいのかな)切手しか取扱がないというわけ。
ま、確かに5円なんていうマイナーな切手を買いに来るというのも滅多にないことだと思うが、それにしても、モノはすぐそこにあるのに、時間外で閉めちゃってるから取り扱えないというのもねえ。真っ向サービス、とか言ってるくせに。
そのバイトの男に、じゃあ近くの店で扱っているところは知りませんか、と聞くと、それもないという。
それなら仕方ないな。5円掛ける6枚で、30円損するけど、代わりに10円切手を6枚買って、本所郵便局を出た。
蔵前橋通りを自転車で走っていて、郵便局からそう遠くないところにあるお酒屋さんの店先に、切手類の取扱の看板が見えたので、念のためと思って寄ってみた。
すると、ちゃんといるじゃないの、こぶはくちょうが、何羽も。
「郵便局に行ったら、ないって言われたんですよ」
「えっ、信じらんないねえ」
と、店のおばちゃん。
郵便局も、もう少し、サービス精神を考え直してください。
5_en.gif こぶはくちょう
普通切手券種一覧
http://www.post.japanpost.jp/kitte_hagaki/stamp/standard/index.html

馬喰町じゃねえ

連休も終わって、今日から出勤という方も多いだろう。
今年はいい具合に祝日が並んで、カレンダーどおりでも5連休となるし、中には、前後に有給を取って11連休とした人もあるようだ。
ぼくは4月30日に有給を取ったので、29日から5月5日までの7連休ということになった。
7連休、と言葉にしてみれば、そんなに長く休んだのかと思うが、実感としては、過ぎてしまえばあっという間のことである。ま、これは多くの人がそう感じていることだろうが。
5月になって、些細なことだが、実はひとつ困ったことがある。
これまでも何度か書いているが、うちから会社まで歩いて大体5、6分で着く。
これは、自宅に近い勤め先にしたのではなく、今の仕事を始めるにあたって、思い切って勤め先に近いところに引っ越したのだ。
会社までの途中にセブン-イレブンがあって、行き帰りに寄り道していくことが多い。
何を買うかというと、朝はペットボトルのお茶やサンドイッチ、帰りに東スポとか、そんな程度だ。それでも、店の外でオーナーに出会っても挨拶されるくらいだから、こちらの顔も覚えてくれているのだろう。
さて、そのセブン-イレブンが、この4月30日をもって、閉店してしまった。
こうなると、まず毎朝の買い物に困る。
別のコンビニに寄って行こうと思うと、わざわざ遠回りして行かなければならない。これから暑くなって、外に出歩く時間を少しでも短くしたいのに。
それに、毎朝店を覗くのが半ば習慣になっていたので、会社に着いてもなんだか間の抜けた感じがして、どうも腰の据わりが悪い。コンビニというのは、習慣性のあるものだと思う。
しかし、新規に開店するコンビニは多いけれど、閉店するというのは、しかも業界のガリバーであるセブン-イレブンが店を閉めるのはあまりないことなのではないか。
どういう事情があったのか知らないけれど。
店先にオーナーからの張り紙があって、この店は畳むけれど、馬喰町で新しい店を開くからご利用ください、とある。と言っても馬喰町じゃねえ。

ちゃんこ対決

もう2週間ほど前になるけれど、両国の江戸東京博物館で「両国にぎわい春祭り」というイベントをやっていたことは、以前も少し書いた。
このイベントの企画で「ちゃんこ対決」というのがあったのだが、なんていうことはない、単にちゃんこ鍋の出店が二軒並んでいるだけで、対決と銘打っているからといって、例えばどっちのちゃんこが美味いかお客さんから投票を募るとか、あるいはどっちの店がたくさん売れたかで勝負を競わせるとか、そういうシビアなものではなかった。言ってみれば、まあ、ぬるい企画である。
ちなみに店を出していたのは、一軒が両国駅前の「ちゃんこ霧島」、もう一軒が「両国パールホテル」。
パールホテルは、和牛ちゃんこ、というのを売りにしており、国産黒毛和牛の肉が入っている、らしい。味付けはしょうゆ味。
一方、霧島のほうは、味噌仕立てのスープに、豚肉とつくね(つみれ?)が入っている。
どちらのちゃんこも一杯5百円、生ビールも一杯5百円。千円札1枚持っていけば、うららかな春の陽気のもと、外の桜など見ながらビール片手にちゃんこが食べられる。
いま思えばいい企画でした。春だけといわず、もっと頻繁にやってくれないかな。今度はまた別のちゃんこ屋が参加してもいい。
さて、このイベントに出店した2種類のちゃんこを、もちろん私は両方とも食べている。
そこで両方食べた私が、あえて今回のちゃんこ対決の勝敗を決めるとすれば、霧島のほうに軍配を上げる。
黒毛和牛って言ったってなー、あんまり有難味が分からないし。なんだか肉そのものっていうより、和牛っていう言葉を味わってるみたいだしね。
もちろん不味いわけではないんだけど。
霧島のちゃんこは、味噌味に、あれはごまの風味なのかな。豚肉に野菜もたっぷりで、鳥と魚貝のつみれ団子もよかった。
いわゆる、ちゃんこ、という感じがしました。
ちゃんこ霧島は、両国駅前の8階建てくらいのビルで営業していて、そのうち2、3フロア除いてあとは全部ちゃんこ屋になっているんだけど、私はまだ行ったことがありません。今度行こう。

突発的本所居酒屋紀行・二軒目

(承前)一軒目と書いたということは、二軒目もある。
今の店は中途半端な気分で出ることになったので、もう少し飲みたい。
実はあと一軒、自転車で前を通るたびに気になっていた店がある。
さっきよりずっと吾妻橋のほうに近い場所で、といっても、自転車ではわけもない距離だ。
あっという間に店の前に到着。看板には「もつ焼き」とある。
自転車にまたがったまま白い暖簾の隙間から中を覗くと、きれいな白木のカウンターが見える。というより、店全体のつくりがまだ新しそうだ。
入ろうか、どうしようか逡巡して、一旦そのまま店の前を通り過ぎる。
ちょっとその辺を一回りして呼吸を整えようと思い(別にそんな必要もないんだけど)、何気なく路地に入ると、そこにも、もう一軒「もつ焼き」の文字の店があった。
しかしこの店は、いま通り過ぎてきた店とは対照的に、時代を感じさせる、というと言葉がきれい過ぎで、もう店全体を煙と脂でいぶしたような感じだ。
が、暗い路地の中にぼんやりと浮かび上がる店の明かりが、なんともいえず魅惑的で、急に方針を変更して、吸い込まれるようにこの店に入った。
戸を開けると、目の前にL字型のカウンターがあって、中で主人らしき初老の男性が串を焼いている。他にも2、3人の若い店員が仕事をしているようだ。
カウンターでは、4、5人連れの若い男女のグループが酒を飲んでいる。
店内を見回すと、思いのほかお座敷が広くて、2、30人くらいは余裕で入れそうだ。
その席がほぼ満員で、こちらにまで客の熱気が伝わってくる。
客層は、お座敷の手前のほうのテーブルで、背広姿の4、5人連れ。その隣におばちゃんが2、3人。
そして、壁を背にした奥のテーブルでは、20人くらいの宴会をしているのだけど、老若男女、それも明らかに外国人らしい姿の人も半分くらい混じっている。これはちょっと謎の集団だ。
さて、何を頼もうか。
さっきの店でお酒を飲んでいたから、お酒を続けてもよかったのだけど、初めての店で勝手がわからないから、様子見に瓶ビールを注文。
すると店の若い店員が、
「すいません、アサヒがもう終わっちゃったんで、サッポロでもいいですか」
と聞いてくる。
そうか、このあたりでは、ビールとくれば何を措いてもまずアサヒなんだな。この店からあとほんの少し行くと、浅草通りに出る。ここは吾妻橋のアサヒビール本社のお膝元だ。
料理は、何を注文しようか迷うときの定番、もつ煮込みを頼む。
程なくビールと煮込みが到着。
この煮込みは、こちらの期待通りのもつ煮込みで、豚もつと牛蒡やニンジンがあっさり目に煮込まれていて、上にネギがたっぷりとかかっている。こういうのが一番好きなパターン。
しばらく飲んでいると、奥の外国人連れの集団から、ひとりおじさんがカウンターのほうにやってきて(この人は明らかに日本人)、中の主人に、店の中で歌ってもいいかどうか聞いている。お酒が入って興に乗って、それでは一曲歌ってみようというのだろう。
話を漏れ聞くと、どうやらフランス人のグループを案内してきているらしい。
店の主人は快諾、ほかのお客さんも異存ないようだ。
おじさんがそれを仲間に伝えると、まず背の高い黒人の男性がひとり立ち上がって、にわかに歌い出した。
カラオケなどの設備はないから、もちろんアカペラだ。
聞いたこともあるようなシャンソンなのだけど、曲名とかまでは知らない。でも、テンポのいい曲で、ほかのお客さんも一緒になって、手拍子を叩いて盛り上がる。
その後も、フランス語、日本語入り混じって、何人かの独唱が続いた。
日本人のまだ若い女性だろうが、「さくらさくら」を歌っている。上品できれいな声なのだが、どことなくもの悲しい。季節的には確かに合っているけど、少なくともこの場所には似合わない感じだ。
しかしそう考えると、日本の歌で、最近のヒット曲ではなく、老若男女の誰もが知っていて、かつ宴会で盛り上がって歌えるようなアップテンポの曲というと、どんな曲になるのだろうか。
ヨーロッパだと、シャンソンにしてもカンツォーネにしても、昔からの伝統的な曲であっても、若い人も違和感なく盛り上がって歌えるような感じで、やはりうらやましい。
ご主人から「何か焼きますか」と聞かれたので、焼き鳥を焼いてもらう。2本で240円。焼きたてもあるのだろうが、この肉が、ぷりぷりとしてうまい。
ビールからお銚子に替えて、いい感じで酔っ払ってきた。
瓶ビール、お酒、煮込み、焼き鳥で、やはり1,600円くらいだったか。
このへんになると、合計金額の記憶が少し怪しい。
一軒目は小料理屋ふう、二軒目は大衆居酒屋ふうと、雰囲気はそれぞれ全然違うけれど、どれも魅力的な店だ。平日からお客さんが結構入っていることからも分かる。特に二軒目の店など、今すぐにでも、もう一回行きたいところだ。
それに、この本所界隈も、ぼくが越してきたここ3年くらいで見ても、どんどん新しいマンションやビルが建っているが、それでもこうした昔ながらの古い木造の居酒屋が、鉄筋のビルの間に生き残っているというのがうれしい。
しばらくは目標を北の方角に定めて、個人活動していこうか。