食の居場所

このところファストフードの店舗を利用することが多くなった(じっさい、この文章もそんな店のひとつで書いている)。
店に入って何も頼まないわけにはいかないから、いきおいハンバーガーの類を主に注文してなんとなく食べているが、どうもそのせいなのだろう、一時期やっきになって減らした体重がまた増加気味である。
あるいは、ぼくが年をとって体重が減りにくくなっているせいでもあろう。
そこで、この年末にかけて減量大作戦を展開することにした。
やるべきことは分かっているから、あとはどこまで根気が続くかということだ。

“食の居場所” の続きを読む

錦糸町から

落語の柳家三三、講談の神田山陽、そして狂言の茂山宗彦。
それぞれのジャンルから、当代若手の人気者が集まった。
出演者個々の名前には大いに惹かれるが、いざ三人が寄り集まって、できあがった舞台が面白いかどうかは、また別の話。
個人的には、やや微妙。
舞台の上の展開に乗れないまま、だんだんと瞼がくっついてきて、それに抗っているうちに時間となってしまった。

“錦糸町から” の続きを読む

みなとみらいから

結局、人の目を気にして生きている。
自分が他人からどう見られるか、いつでも気になって仕方がない。
そんなことをいじいじと気にしているうちに、外出をするタイミングを逸してしまうこともある。昔からそうだ。
この気分が高ずると、しまいに部屋から一歩も出られなくなってしまいそうだ。いや、いっそ、そのほうが楽かも知れない。案外、世間でいう引きこもりの人たちも、こんな気分が高じて、外に出られなくなっているのではないか。

“みなとみらいから” の続きを読む

緑町から

墨田区にお住まいの皆さんは、小島惟孝先生のことはご存知ですよね。
あれ、ご存じない?
J:COMすみだ(さくらケーブルテレビ)で放送中の番組「すみだの歳時記」に出演している郷土史家の先生です。
小島先生の名前に聞き覚えがなくても、その表情を一目見たら、「あ、このおじさんテレビで見たことある!」と思い出す人も多いんじゃないかな。
普段J:COMチャンネルを見ないという人でも、ザッピングしているうちに少しはテレビに映ることがあるでしょう。そのときに、もしこの番組を放送していたら、絶対リモコンを動かす手を止めてしまうと思う。それくらい、表情も、雰囲気も、しゃべり方も、強烈なインパクトのある方です。

“緑町から” の続きを読む

吾妻橋から

今日も今日とて、アサヒ・アートスクエアから。
TENORI-ONのことは前から気にはなっていた。今年の春ごろだったか、東京でのローンチイベントがスパイラルで開催されるというのをチラシで見て、申し込みそびれているうちに気がつくと定員になってしまっていて、ちょっと残念な思いをした。
当方、もっぱら音楽は聴く一方で、楽器は何も弾けない。かつて人並みにギターを手に取ったことはあるけれど、コードを2、3覚えた程度で放り出してしまった。要は、圧倒的決定的に根気が欠落しているのですね。
そんなぼくでも、このような電子ガジェットを見ると、(ありもしない)自分の力を拡張してくれるんじゃないかという幻想を抱く。

“吾妻橋から” の続きを読む

半蔵門から

もう自分でもわけがわからないのだが、小沢昭一さんが出演するとなったら、いてもたってもいられないのである。
とにかく国立演芸場に駆けつけた。なるべく音をたてないように扉を開けて、背中をまるめて中に入る。桂文我さんの「千早ふる」が、いいところまで進んでいる。
そう大きくはない国立演芸場だが、さすがに客席はほとんど埋まっているようだ。ぼくのように遅れて入ってきた行儀のよろしくない客は、あと数人いるかどうか。
さあ、「千早ふる」に続いては、小沢さんの、随筆ならぬ、随談。
小沢さんを見るのは、4月の紀伊國屋ホールでのしゃぼん玉座公演以来だ。

“半蔵門から” の続きを読む

吾妻橋から

この多幸感は何なんだと思う。
何回目の吾妻橋ダンスクロッシングか忘れたが、今回もまったく期待を超えていた。
最後に出てきた「おやつテーブル」という人たちなんて、想像を絶するよ。
よくもまあ、次から次に新しい手が出てくるものだと思う。
康本雅子とボクデスはもうおなじみだが、あとの出演者は、多分ぼくは初めて見る人ばかりだ。なじみの名前で食いつかせておいて、初出演のパフォーマーたちも好き嫌いなく食わせる。うまい配分だと思う。

“吾妻橋から” の続きを読む

吉田町から

ここだったのか、吉田町というのは。野毛の街から橋を一本渡ったところじゃないか。黄金町から歩いて、だいぶ遠回りしてしまった。
時間を潰すのに入った蕎麦屋のお姉さんが、ちょっとびっくりするくらい綺麗な人だった。しかも店内では彼女一人が孤軍奮闘という状況だ。てんてこまいという言葉は彼女のためにあるようなものだ。あるいは、そういうふうに見せてしまうキャラなのかもしれない。しかし、取り急ぎそのことはこれから書こうとしている本題とはまったく関係がない。

“吉田町から” の続きを読む