痩せ話 その8

どうして痩せようと思ったのか、それは去年の洋服が入らなくなったからだ、なんて最初のほうに書いたけれど、まあ、そういう部分も確かにあるけども、もっと大きく言えば、ここらでひとつライフスタイルを変えてみようかと思ったのだ。
実を言うと、スポーツクラブ通いを考え始めたころ、ぼくは精神的にかなり参っていた。
今から思えば、あの頃は、重くなりすぎた体を持て余して、その影響が心身のいろいろなところに表れはじめていたのだろう。
そのひとつの表れは、しばしば頭痛や眼の奥の痛みに悩まされていたことで、思い余って錦糸町の眼医者で診てもらったら、眼そのものに悪い箇所があるのではなく、眼の疲れが痛みになって表れているということだった。
また、お酒を飲みすぎた翌朝は、決まって眼の奥がズキズキと痛くなったが、これも、アルコールを分解するには体力を使うから、その疲れが眼に来ているのだろうという。
疲労が原因というなら、それこそ休むしか仕方がない。しかし、眼以外は疲れているという感じはしなかったし、それなら、むしろ、体のどこか具体的な箇所が悪いと言ってくれたほうが、まだ気が晴れた。
気晴らしにお酒でも飲みたいのだが、酒を飲むと眼が痛くなるのは見えている。それを思うと、余計に気分が鬱してくる。
そんな、心と体の状態の悪循環を、なんとかして無理矢理にでも止めたかった。
自分の外的な環境か内的な環境のどちらかが変わらない限り、悪い方向への動きを止められないと思ったからね。
せめて自分の意志でなんとかしようと思ってなんとかなるのは、外的な環境を変えることくらいで、大げさに言えば、スポーツクラブに行ってみようと思い立ったのは、その手段というか、きっかけになればいいなと考えたからなんだけど、実際に循環の方向が変わりはじめたのだろう。去年の6月にスポーツクラブに通うようになってからは、あれほど悩まされた眼の痛みも消えてしまった。
洋服が入らないから痩せたんだ、そりゃあ、運動も食事制限も何もしないで体型が維持できれば、それに越したことはないよ。そんなことは、結果として体重をある程度落とせた今だからこそ、照れ隠しで言うけれども、実際のところ、1年前に比べて体はずいぶんラクになったし、それに、こんなことを言うのはぼくの柄じゃないんだけど、体を動かして汗をたっぷりかくのは、単純に気持ちがいい。

痩せ話 その7

そう考えると、ぼくのスポーツクラブ通いが続いたのも、しょせんぼくが気ままな一人暮らしなのに加えて、たまたま今の仕事の拘束時間が短くて、職場の人間関係に煩わされることも少ないという幸運に恵まれたからだ。
といっても、いつまでこの仕事を続けることになるのか、それはわからないし、また、もし結婚したりすると、家に奥さんや子供が待ってるのに自分ひとりだけジムで自転車こいでるわけにもいかないんだろうね。いや、ダンナがスマートになるというんだったら、それくらい奥さんも許してくれるのかな。まあ、ぼくには当分結婚する予定も相手もないから、そっちの心配は無用なんだけど。
ともあれ、こうやってジム通いをして体重を減らせたのは、ぼくにとっていい機会だったんだろうと思う。この機会を逃したら、今後、こういういい条件が重なることは滅多にないんじゃないかな。
それから、長く続けられたのは、ぼくの性格もあるんだろう。毎回ジムに行くと、新聞を読んだりしながら必ず1時間はエアロバイクに乗っていると書いたけれど、そんな話をすると、人によっては、信じられないという顔をされることもある。体力的なことよりも、1時間も同じ場所でひとり黙々とペダルをこいでいることが信じられないという口ぶりだ。
が、ぼくは、駅前の焼鳥屋で東スポなどを片手に1時間くらいお酒を飲んでいることだって結構あるし、場所が焼鳥屋かスポーツクラブかという違いだけで、その間に心理的な距離はあまりない。もっとも、ジムで東スポを読むのは恥ずかしいので日経にしているけれど(そこがちょっと減点だね)。
だから、ひとりで喫茶店や居酒屋に入って、ぼんやりと時間を過ごすことのできる人なら、ジム通いを長く続けるメンタリティはあるんじゃないかと思う。逆に、ひとりでは喫茶店やレストランには入れないという人(こういう人も結構いる)だと、会社帰りにふらりとスポーツクラブに寄って、ひとり黙々と自転車をこいだりするのは向かないんじゃないかな。
もっとも、人によるんだろうけどね。仲のいい誰かと入会して、そのままずっと二人一緒に通い続けることができるのなら、それはそれでいいんだろうけど。
こうして、ぼくは、きょうもひとり、エアロバイクをこぐ。
まあ、独身者の機械だな。ミシェル・カルージュなら、スポーツクラブのために一章を書き加えたかもしれない。

痩せ話 その6

この話まだ続くのかよ、とお思いの方もいらっしゃるだろうが、1年間で溜まったものをこの際全部吐き出してしまいたいので、もうしばらくお付き合いいただきたい。
スポーツクラブについていろいろと御託を並べているが、ぼくがこんなことを語るようになるなんて、1年前の自分には想像もつかなかった。
だいたい、ぼくは根っからの文科系の人間で、就職してからどころか、大学時代もまともにスポーツなどしたことがないし(普通の体育の授業を取るのがイヤで、わざわざまとめて単位を取れるスキーを選んだくらいだしね)、高校時代だって、それはたいして変らない。
体を動かして汗をかくなんて、ひょっとすると中学校以来のことではないだろうか。
そんなぼくが、かれこれ1年以上もスポーツクラブ通いを続けているなんて、自分でもよくやっているなと思う。
スポーツクラブ通いを長く続けるには、いくつかポイントがあると思う。
まずは場所。普通は自宅に近いところか、職場に近いところを選ぶ方が多いだろう。
ただ、職場の近辺だと休日に出てくるのはおっくうだし、自宅の近くだと、特に通勤に時間のかかる人など、長い間電車に揺られてうちに帰って、それからようやくジムで汗を流す、というのは気が乗らないだろうなあと思う。
ぼくは職場から歩いて5、6分程度の距離に住んでいて、それが運動不足につながる原因にもなったのだけど、近所のスポーツクラブに通う分にはとても好都合で、平日の夜も休日も気軽に足を運べる。
ジムの雰囲気も大事だと思う。今通っている両国のクラブに決める前に、錦糸町にある別のクラブも見学したことがあったのだけど、照明の具合もあったのか、なんとなく暗い感じがして、気が乗らなくてそこはやめてしまった。
あと、その錦糸町のクラブは、やってる人の本気度が高いような気がしたんですね。
スポーツクラブの雰囲気にも種類があって、極限まで体を鍛え抜こうっていうようなマッチョな人たちがガシガシやっているところもあれば、おじさんおばさんが半分ヒマつぶしに通っているようなゆるいところもある(と思う)。
ぼくが通っている両国のクラブは、どっちかというと後者の人も許容しちゃうような雰囲気がある。だから、新聞読みながらバイクこいでも許されるような部分があるんじゃないのかな。あんまり本気度が高いところだと、そういう人は注意されそうじゃないですか。
あと、気楽な雰囲気のジムが適当な場所にあったとしても、やっぱり仕事が忙しいとそうそう頻繁には通えないでしょう。
ぼくの今の仕事では、普段はだいたい7時前には上がっているしね。7時に上がれば、それからうちに帰って着替えてからでも、じゅうぶん8時にはジムに入っていられる。
前の会社に勤めていたときは、夜の11時、12時まで残っていることもザラだったし、早く上がっても、職場の人たちと一緒にメシを食いに行くことも多かったから、平日に2回も3回もジムに行くなんてことは考えられなかった。むしろ、特に入社したばかりの頃など、ほとんど毎日のように会社の人たちと飲みに行っていたような気がする。
早く帰りづらい雰囲気の職場だったり、職場の仲間で飲み食いすることが多いところだと、スポーツクラブに行くからと言ってひとりだけ先に抜けるのは難しいだろうなあと思う。

痩せ話 その5

食事制限だけで体重を減らすのは、どうしても限界がある。
たまにはうまいものも食べたいし、お酒も飲みたい。
やはり、入ってくるカロリーを減らすだけではなくて、出ていくほうのカロリーを増やさないと、効率のいいダイエットはできない。言い換えれば、その両方がうまくかみ合って、いい循環になっていくのだろうと思う。
前に書いたように、ぼくは去年の6月から両国にあるスポーツクラブに通っていて、平均すると週に3回くらいは行っているはずだ。もう少しペースを上げたいという気持ちもあるし、実際、週に4回、5回と行くときもあるのだが、逆に連休で帰省していたりして、しばらくご無沙汰してしまうこともあるから、そううまくはいかない。
いろいろな会員種別があるのだけど、ぼくはナイト&ホリデー会員というのになっていて、平日は夜の8時から11時まで、週末なら終日施設が利用できる。
よくあるのは、こういうパターンだ。
平日、仕事を終えて、いったんうちに帰って着替えてから、タオルやスニーカーを持って出かける。8時から、まずはジムのマットで15分間ストレッチ、それから軽くウエイト。体が温まったところでエアロバイク。新聞や雑誌を読みながら1時間こぐ。終わるころにはTシャツが汗びっしょりになる。クラブの風呂に入って汗を流す。うちに帰って軽く食事を取る。
休日(前日の夜に飲みすぎたとする)、クラブは朝の10時から営業しているので、まず風呂に入って前夜の酒を抜く。その後は平日同様にストレッチ、ウエイト、バイクのセット。Tシャツを着替えてバイクをもう1セット続けることもある。風呂に入って帰る。
ご覧のように、トレーニングをする前には、なるべく食事は取らないようにしている。最初の頃はどうしてもお腹が減ってしまって、牛丼屋に寄ってからクラブに行くという、運動の意味があるのかないのか分からないようなことをしていたこともあったけれど、今では、何か口にするにしてもサンドイッチ程度にするか、むしろ何も食べずにジムに入ることが多い。
空腹時に運動をしたほうが脂肪を燃焼する効率がよいという話を聞いたし、また空腹感というのは時間が経つといつの間にか消えてしまうものだ(おそらく、体脂肪の燃焼が始まるのではないかと思う)。それに、しばらく続けているうちに、多少の空腹感は我慢できるようになった。
休日の午前中にトレーニングをするときも、朝は基本的に何も食べない。が、平日の朝は別で、会社に行く前はサンドイッチ1個でもバナナ1本でも、必ず何か口にするようにしている。というか、そうしないと午前中は調子が悪くて仕事にならない。ジムで体を使うときと、会社で頭を使うとき(それほど使っているわけではないけれど)では、栄養の回りも違うのだろうか。
トレーニングの前に食事はしないと書いたが、アミノ酸飲料を飲んでからジムに入ることは多い。具体的に商品名を挙げると、ぼくはずっとヴァームを飲んでいる。
ぼくの実感として、運動前にヴァームを飲むのと飲まないのとでは、バイクをこいでいるときの汗の量や体の疲れ方が違うような気がする。まあ、広告などの暗示効果もあるのかな。
ちなみに、ヴァームといっても、ぼくが飲んでいるのは、ヴァームウォーターという500ミリのペットボトルではなく、缶入りのヴァーム190のほうだ。雑誌で読んだ話だけど、アミノ酸の濃度がある程度濃くないと効果がないそうで、ヴァームウォーターの濃さだと気休め程度の効き目しかないらしい。それで、ぼくは運動前に一番濃いヴァーム190を飲んで、バイクをこいでいる間は普通のミネラルウォーターを飲んでいる。
まあ、ヴァームも必ずしもおいしいとは言えない味だし、また、ほかにもいろいろな会社からアミノ酸飲料やサプリメントが出ているから、それぞれ自分の体に合ったものを見つけて飲まれればよいと思う。

痩せ話 その4

だから、これから痩せたい、痩せよう、という人は、まずはスポーツクラブなどで自分の基礎代謝量を測って、その数字を意識するといいと思う。
極端な話、常に摂取カロリー量が基礎代謝量以内に収まっていれば、どんなに運動不足の人でも、必ず体重は減っていくのだから。
むろん、前に書いたように、基礎代謝量は生きていくうえでの最小限のカロリー消費量だから、普通に生活するだけでも、実際はそれ以上のカロリーが必要になる。例えば、デスクワークの男性の一日の所要量が2000とか2500キロカロリーとかといった数字も目にする。
が、現在標準体重だという人ならともかく、これから痩せようという人が、そっちのほうの数字ばかり目安にするのはどうかなと思う。
というのも、毎日必ず同じカロリーの飲食をしているのならともかく、時にはお付き合いなどで飲みすぎ、食べすぎのこともあるでしょう。
だから、ダイエットをするなら、普段は摂取カロリーをある程度低めに心がけて、たまにはハメを外すときもある、というくらいにしておかないと、体重を減らすのは難しい。
改めて思うのは、現代の普通の都市生活では、太らないようにするだけでも大変で、そこからさらに痩せようと思うと、二倍、三倍の努力が必要だということだ。
仕事内容がデスクワーク中心で、日常的に体を動かす機会のない人が、おいしいものを好きなだけ飲んだり食べたりしていては、太らないわけがない。せめて、食べ物に気をつけるか、運動を心がけるかのどちらか一方でもしないと、今の体重を維持することもおぼつかない。
食事について、実際にぼくが心がけていたのは、こういうことだ。
まず、なるべく油物を口にしないようにする。揚げ物は食べない。炒め物も控える。サラダにマヨネーズはかけない。油ギトギトラーメンは食べない。
次に、肉を控える。なるべく肉よりも魚にする。肉を食べるときは、牛よりも豚、豚よりも鶏を食べる。鶏を食べる時はできるだけ皮を取る。
これで、大体、守れている。人付き合いの席で出されたようなときは仕方がないが、それでもカツやフライの類は、この1年間、月に一度食べたかどうか、という程度だと思う。
炭水化物については、それほど意識しなかったけれど、前より食べる量は少なくなっているかもしれない。
アメリカでは炭水化物を極力食べないようにするダイエット法を実践する人が多いそうだが、アメリカ人に比べて肉より炭水化物の摂取の多い日本人には合わないという話もあるし、単純にカロリーの値だけをみれば油のほうがずっと高いのだから、むしろ油の摂取に気を使ったほうがよいのではないかと思う。
油の種類によっても違うのだろうが、脂肪は1グラム当たり9キロカロリーあるらしい。
だいたい、10分間走るか、一生懸命自転車をこぐかで、100キロカロリー使うかどうかだ。
ということは、油物を10グラム控えれば、それだけで自転車10分分の価値があることになる。
お酒はそこそこ飲んでいる。よく、アルコールはエンプティカロリーだから、お酒のカロリーは気にしなくてもよいという話を聞く。その説が本当なら、ビールや日本酒といった醸造酒よりも、焼酎やウイスキーといった蒸留酒のほうが太らないということになる。
その説の真偽はともかく、確かに、ぼくの感じでも、お酒自体はあまりダイエットに関係ないように思う。むろん、酒のつまみとしても揚げ物や肉を控えるのは当然だが。
また、お酒を飲んだらご飯は食べない、ラーメン屋には寄らない、というのが鉄則だ。
鉄則なのだけど、飲んだ後のラーメンの誘惑には逆らいがたい。普段は意志を強く持っていても、お酒を飲むとどうしても冷静な判断力を失ってしまう。
まあいいや、今日ぐらい、ということになってしまいがちなのだけど、これはもう、うまいラーメン屋のある通りは避けるとか、ラーメンが食べたくならないくらい酔っ払うとか、その程度しか対策は思いつかない。
一軒目は外で飲んでも、二軒目はうちに帰って飲み直す、というのもひとつの手だろう。
ちょっと飲みすぎたな、という日の翌朝は、ジムに行って少しきつめに自転車をこぐ。すると、いつもより余計に汗が出るような気がする。ペダルも心なしか普段よりも軽い。酒で溜まったエネルギーを使うからだろうか。

痩せ話 その3

では、どうすれば痩せられるのか。
これは簡単な話で、摂取カロリーより消費カロリーが多ければ痩せられる。
つまり、算数の問題だ。自分の一日あたりの摂取カロリー量と消費カロリー量を認識して、入ってくるほうを減らすか出ていくほうを増やすかすれば、必ず体重は減る。
言葉にすれば簡単だけど、言うは易く、行うは難い、といった類の話だろう。
が、それ以外に方法がないのも事実だ。
手始めに、自分の摂取カロリー量を認識するのが一番簡単かもしれない。
毎日の食事を外食やコンビニ弁当ばかりで済ませている人も多いと思うが、ファミレスのメニューにはカロリーが記載されていることが多いし、コンビニで売っているおにぎりや弁当のラベルにも大抵カロリーが印字されている。その数字を足しこんでいけばいいのだから、むしろ外食のほうが摂取カロリー量の管理は簡単と言えないこともない(ここで不満なのは、ファストフードのメニューにはカロリーが書いていないことが多いことだ)。
ともかく、そうやって、自分の一日の摂取カロリーが分かったとする。
次に、消費カロリーのほうはどうか。
基礎代謝量という数値があって、これは横になってじっとしていても内蔵の働きや何かで消費される、最小限のエネルギー消費量なのだという。
ぼくは去年の6月から近所のスポーツクラブに通っていて、このことは後で気が向いたら改めて書こうと思うけれど、最初、そのクラブの一日体験企画に参加したとき、たまたまその時期にインボディ測定会というのをやっていて、ぼくもよく分からないままに測定してもらうことになった。
インボディというのは、体内に微弱な電流を流して、体脂肪量や筋肉量などを測定する機械らしい。測定が終了すると、いろんな数値が印字された紙が出てくるが、その中で自分の基礎代謝量も分かる。
ぼくの一日あたりの基礎代謝量は、その時点で1800キロカロリーという程度ではなかったか。今では多少筋肉量が落ちているから、1700を切るくらいか。つまり、基礎代謝量というのは、筋肉量に左右される部分が大きい。太ると脂肪ばかりが増えるわけではなく、重くなった体を動かすためにはその分筋肉も必要になるから、ある程度は基礎代謝量も大きくなる。
この1800キロカロリーという基礎代謝量は、決して少ないほうではないが、要は、最初に書いたように、摂取するほうとのバランスの問題だ。
その頃のぼくは、休みの日になると、お昼にコンビニ弁当を買って、それだけじゃ物足りないからサンドイッチも買って、ついでにジュースも買って、ということも度々だったのだけど、弁当の種類によっては、これだけで一日の基礎代謝量にほぼ匹敵するくらいのカロリー量に達してしまう。
初めて基礎代謝量という数字を突きつけられて、普段の食生活を考え合わせると、正直かなり焦った。

痩せ話 その2

どうして痩せようなんて思ったんだ、さてはコレだろ(小指を立てながら)、と言った人もいたが、残念ながらそういう色っぽい話ではない。
実際は、もっと現実的な話で、要するに、去年の洋服が入らなくなったのだ。
ぼくは割とスーツを着るのが好きで、だいたい毎シーズンに1、2着は買っている。
今の職場も、ほんとうはカジュアルな格好でもいいみたいだし、また基本的に内勤だから、外部の人と会う機会もそんなにないのだけど、それでも毎日スーツを着て出社している。
スーツを着ると、いかにも自分がサラリーマンだ、という感じがしていい。
ちょっと倒錯したような言い方だけど、まあ、ぼくの頭のどこかに、給与生活者としての自分を突き放して見ているところがあるのだろう。また、今の仕事内容が、およそ世間一般のサラリーマンらしくないということもある。
何よりも、スーツは制服みたいなところがあるから、着るものにあまり頭を使わなくて済むのがいい。スーツ、シャツ、タイ、靴とベルト、このへんの組み合わせをちょっとずつ変えていけば、それなりの格好はつく。これが私服だったら、何を着ていこうか毎朝悩んで出社が30分以上遅れることだろう。
それにぼくは、サラリーマンのカジュアルスタイルというのがどうも嫌いだ。まわりを見ていると、休みの日におじさんがゴルフに行くような格好をしている人が多い。
いくらカジュアルといっても、例えば襟付きのシャツを着たり、ちゃんとベルトを締めてシャツをパンツの中に入れたり、といった程度のコードは(不文律にせよ)ある。Tシャツに短パンにサンダルという格好ではよろしくないわけだ。
でもぼくは、どうせカジュアルというなら、そこまですればいいのに、と思う。それができないのなら、むしろ、きちっとスーツにネクタイ姿、というのがいい。スーツならスーツ、カジュアルならカジュアル、ちゅーとはんぱやな、ということだ。
話がだいぶ脇道にそれてしまった。
シーズンごとにスーツを買っていると書いたけれど、それは別におしゃれとかそういうことよりも、去年買ったスーツがきつくなっているからだ。毎回、衣替えの季節になると、そういう事実に直面する。
ぼくは新宿の伊勢丹でスーツを買うことが多くて、10年近く顔なじみの店員さんもいる。
別に高級ブランド品やオーダーメイドのスーツを買うわけでもなく、ぼくの手の届く範囲などたかが知れているが、それでも、いつもの売場に顔を出すと、すぐにお奨めの品物を出してサイズを合わせてくれる。ネームの刺繍やパンツの裾の折り方といった細かい希望も、全部承知の上だから、余計な手間がかからない。
今思うと、それも良くなかったのかも知れない。量販店に行って既成のサイズからいちいち選んでいくとなると、おのずと自分の体型の変化を意識せざるを得ないのではないか。
ひらきさんは量販店でスーツ買っちゃいけませんよ、なんて言われていたけれど、それはもちろん営業トークもあるだろうけど、実際問題として、量販店の既製服のサイズには収まりきらない体型になっていたのだ。
だんだん露悪的な話になってきたぞ。

痩せ話

世の中、思うようにならないことが多い。
まずは仕事がそうだろう。
計画数字を作って、それに日々追いまくられるように仕事をして、下げたくない頭を下げて、それでも計画通りにお客さんが取れるとは限らないから、締まってみれば実績は未達で、あれは元の計画の立て方が悪いの、どうの。
遡れば、就職活動からして、自分の思うようにならないことだ。みんな思うような就職ができていないからこそ、雇用のミスマッチなんてことが言われるのだろう。
地道に努力を重ねれば、必ずしかるべき成果が上がって、それがみんなに評価される。もしそうであれば、仕事にまつわるやり場のない不平不満など起こるまい。
もっと身近なことで、思うようにならないことの代表といえば、やはり恋愛だろう。
しかし、努力すれば必ず報われて、それによって達成感も得られる、ということだって、少ないけれどもいくつかあるのだ。
そのひとつが、ダイエットである。
話がいきなり唐突なようだが、これはぼくの実感として言っている。
最初に具体的な数字を出してしまうと、実はこの1年間で、ぼくは20キロ痩せた。
こう言うとスゴイ話のようだが、なに、もとが太りすぎていただけのことだ。
今の体重だって、世間の標準からみれば、まだ太り気味のほうだろう。
が、ぼくは、自分でいうのもなんだが、骨格ががっしりしていてガタイがいいから、多少体重があっても、まあいいだろうという気もある。
とはいえ、そういう慢心(?)がこれまで災いしてきたのだろうから、できればもう5、6キロほど落とすつもりで続けたいと考えている。
ダイエットのいいところは、やればやっただけ成果が上がる。成果が上がらなければ、それは自分の努力不足以外のなにものでもない。そして、その成果は、数字や外見として客観的に表れる。成果が客観的に表れれば、その過程がつらかったとしても、あるいはつらかっただけに、達成感も大きい。
今まで自分のダイエット絡みの話は、ここに書いたことがなかった。
この話は、言ってみれば、ぼくにとってここ1年間の一番の関心事だったわけで、むしろ今まで書いていないことが不自然なくらいだが、要は、まあ、あえて避けてきたのだ。
中途半端な時期に書いて、そのあとリバウンドしたらどうしよう、という気持ちもあった。
たまたま先週末に前の会社の先輩の送別会があって、1年以上顔を合わせていなかった人たちと久し振りに会う機会があったのだけど、いろいろな人から痩せたと言われたし、調子に乗って自分でも痩せ話をさんざん吹かせてもらった。
そんなこともあって、ここでもそろそろ書いてもいいだろうというつもりだ。

寒い、凍えてしまう

今朝、出社したら部屋に冷房が入っていないじゃないの。
速攻で管理室に電話をして大至急冷房を入れるよう依頼した。
しかし管理の人も忘れてちゃいかんよ。
まあ、普段は暑い暑いとはいいつつ、基本的には内勤だし、うちと会社までの徒歩5分程度を我慢すれば外気に晒されることのない生活なのだけど、こんなことがあると、改めて冷房に守られた生活なのだなあと実感する。
ここのところ、夜中もエアコンを掛けっぱなしにするようになってしまった。自分の体にも、環境にもよくはないのだろうと思うけど、エアコンを切って寝ても、夜中に眼が覚めてリモコンのスイッチを入れてしまう。
この三連休に蓼科に行ってきたという人がいた。
なにやら気温が10度近くて、上着がないと寒くて仕方なかったという。
下界はこの暑さなのに、やっぱり高いところに行くと気温も下がるのかなあ。
が、かく言うぼくも、高いところにあって、やたら寒いところに行ってきたぞ。
六本木ヒルズの森美術館に、MoMA展とカバコフ展を見に行ってきた。
カバコフ展の会場はそうでもなかったけど、MoMA展の会場の中が寒くて寒くて仕方がない。作品保護のためにあえて温度を低く設定しているらしいが、本当に、あれなら上着があったほうがいいや。ノースリーブの女性なんかはかわいそう。
せっかくなので受付でiPodを借りて、マジメに解説を聞きつつじっくりと時間をかけて見たんですが、あんまり寒いので、一回会場の外に出て、ホットミルクで体を温めてからもう一度入り直したくらい。
肝腎のMoMA展の中身ですが、しっかり見たわりに、実はあまりピンとこなかった。
最初の展示室の、象徴主義の作品などは、それなりに面白く見たものもあるんですが、後になるにしたがって、だんだんピンとこなくなっちゃった。
展示の構成というか、作品の分け方が違ったら、また違う印象なんだろうけど。
作品の形式というか、形態で分けてるわけですよね、意味内容よりも、むしろ。
あと、シュルレアリスムの作品がMutationのセクションに入れられていたのも不満で、なんていうか、シュルレアリスムに対する愛を感じなかったな。
あと、今ベルリンでもMoMA展やってるそうじゃないですか。雑誌の記事を読むと、ものすごくお客さん入っているらしいけど。
そっちのほうにいい作品が行ってるってことはないですよね。
六本木のMoMA展
http://www.mori.art.museum/contents/moma/index.html
ベルリンのMoMA展
http://www.das-moma-in-berlin.de/home/

ぼくの伯父さん

更新が滞っておりますね。はい。
理由はいくつかありますが、少なくともきのうに限ってはちょっと飲みすぎたなー。
高田馬場でひとりビールを飲み、錦糸町でひとりビールやバーボンなどを飲んでいた。
いずれもひとりというのが切ないですけど。
錦糸町のバーで飲んでいたら、ぼくくらいの年恰好の人(あるいはもう少し上かな)が、小さな男の子とダーツに興じていた。
てっきり親子なのかなと思っていたら、そうではなく、甥っ子なのだという。
なんでもその人の弟が、アテネに撮影に行って長期間日本を離れているので(どういう仕事なのだろうか)、その間子供を預かっているのだそうだ。
おじさんはビール、甥っ子はオレンジジュースを飲みながらダーツの矢を投げている。いい光景だ。
その子はまだ背が小さいから、まっすぐ投げても的に当たらないんですな。斜め上45度くらいの角度で投げないといけないから、なかなか矢が刺さらない。
小学校1年生なんだって。これがもう少し大きくなると、憎らしさが先に立つようになるのかもしれないけど、まだそこまでは行かない。
しかし父親じゃなくて、おじさんというのがいいじゃないですか。話のわかるおじさんがいるというのが、今さらながらうらやましい。
ぼくにもおじさんはいるけども、離れたところに住んでいたり、まあいろいろあって、あんまり打ち解けた関係にはならなかった。
それにぼくは一人っ子だから、ぼく自身、自分の兄弟の子供と遊んであげることは不可能なわけだし。まあ、奥さんの兄弟の子供という可能性はありますが、まず奥さんというのが全然見えない話だしねえ。
とりあえず今日はそんな話でお茶を濁しておきます。