刺青客

近所で古い建物を解体している現場。ずいぶん進捗したようだ。

昨日は離れ離れに落ちていた手袋が揃えて置いてある。誰かが拾ったのだろう。私も写真など撮らずに拾ってあげるべきだったか。

コンビニで朝飯を買って帰宅。

尾籠な話だが、朝からお腹の具合があまりよくない。昨日変なものでも食べたかな。そんなことはないと思うのだけど。念のため慎重を期して、今日のお昼は持ち帰りにしようと思う。

畳屋の店先に吊られた飾り物が風を受けてくるくると回転している。わらで出来ているのかな。確かに畳屋なら、わら細工はお手の物だろう。

二階の食堂に。弁当ができるのを待っていたら、後から知り合い二人がやってきて久し振りに顔を合わせるなど。

知り合いの話に出てきたTOYAMAキラリというのはどこだろうと思ったら、西町のガラス美術館の建物のことをそういう言い方をするのか。実はまだ建物の中に入ったことがない。そんなことを言えば、新しい富山県美術館にも水墨美術館にも行ったことがない。富山市は高校時代に3年間通った街だが、その頃より後にできた建物には、なぜかよそよそしい感じがして、足を向けるのに躊躇してしまう。この感覚は何なのだろう。

青空がだいぶ顔を出してきた。

お弁当は豚の生姜焼きにした。

所用を終えて散歩に。夜の空が妙に明るい。

今日は入谷のほうまで歩いてみようと思う。入谷といえば、恐れ入谷の鬼子母神という地口だが、考えてみればこれまで鬼子母神に詣でたことがない。

一葉桜・小松橋通りから金美館通りに入って、鶯谷のほうに向かって歩いていくと、昭和通りに突き当たって、地下鉄入谷駅の入口がある。もう一方の地下鉄の入口が昭和通りと言問通りとの交差点近くにあって、鬼子母神があるのはこのあたりである。

入谷鬼子母神は、正式には真源寺というらしい。遅い時間だったけど、境内はまだ開いていたから有難い。

案外こぢんまりとしたお寺で、こう言ってはなんだけれど、少し拍子抜けした。明るい時間に来れば、また印象も変わるのかも知れないが。お寺の周りに観光客相手の店が建ち並んでいるということもない。隣は小学校である。有名なわりに観光地化されていないんだなと思った。もっとも、観光地化していたら私ももっと早く足を運んでいただろう。昭和通りと言問通りという大きな道路に囲まれているので、どうしても雰囲気がせわしない。場所柄で損をしているように思った。

鬼子母神には入谷七福神の福禄寿がおわすとか。しかし江戸の人は本当に七福神が好きなこと。

来た道を引き返して、少し裏道に入ったりしつつ、馴染みの銭湯に着いた。

ほぼ全身に刺青を入れた客が続けざまに入ってきた。

銭湯とサウナ施設の違いは、いろいろに挙げることができると思うけれど、こと客の視点から言えば、刺青を入れた相客がいるかどうかという違いは大きい(ここではオシャレタトゥーではなく倶梨伽羅紋々等の和柄の刺青をいうことにする)。

大抵のサウナ施設は刺青を入れた客の入館を禁止しているのに対して、銭湯ではそのような決まりを見たことがない。銭湯、すなわち公衆浴場は料金が公定された施設で、公共性が高いから、むやみやたらに客を選ぶわけにはいかないのだろう。

サウナ施設の環境を静寂に保つのは、基本的に客のマナーに任されている。かつては勝手の分かった大人のための施設だったのが、昨今のサウナブーム以降、若者がやってくるようになって、中には行儀のなっていない者もいる。そのために時に静寂が乱されるようになった。

銭湯も同様なのだが、ここで刺青を入れた客の存在が重しになっている。この銭湯の雰囲気が落ち着いていて、客層も大人に寄っているのは、刺青客のおかげではないかと思う。

というわけで、銭湯に行くなら刺青客の多いところがいい。

変わり湯は生姜湯。たっぷりとした水風呂で手足を伸ばすのは気持ちがいい。

帰りも少しだけ遠回りして帰った。15,756歩。