発煙

午前中はだらだらして過ごした。特筆することもなし。

15時からの両国門天ホールでのミニ・コンサートに行くのに、14時に家を出て、曳舟から錦糸町乗り換えで両国に向かえば、14時45分の開場時刻には十分間に合うだろうという腹積もりだった。

ところが、曳舟駅に電車が来ない。何やら、鐘ヶ淵駅の構内で発煙?があって、電車が止まっているという。最初のうちは、少し電車が遅れても時間の余裕はあるだろうと高を括っていた。今思えば、この時点でスカイツリーラインを諦めて、亀戸線に乗って亀戸乗り換えで両国に向かえばよかったのだが、後の祭りである。だんだん焦り始めた時、亀戸線のホームに電車が来ているのに気づいて、慌てて階段を駆け降り、上りエスカレーターがホームに着いた時は、ちょうど亀戸行の電車が発車したところだった。次の亀戸行を待っていては、確実に遅刻する。ああ、間が悪い。

これはタクシーに乗るしかないかと改札を出て、曳舟川通りで流しのタクシーを待っていると、高架の上を半蔵門線直通の電車が行くのが見えた。電車は動き出したのか。改札に戻って駅員に聞くと、一本だけ電車を通したが、この次の発車の目途は立っていないとのこと。大人しく元のホームで待っていて、今の電車に乗っていれば、なんとか間に合ったかも知れない。ああ、間が悪い。

暑いし、時間は迫るし、やるかたない間の悪さにいらいらしながら、タクシーを待っている間も気が気でなかったが、何とか反対方向の車を見つけて、Uターンしてもらって両国に。

こんな時は、マイナス方向に考えが働く。このタクシー代約1,600円は、本来は払わなくてもよかったはずのお金である。電車遅延の原因となった発煙というのが、何か事件なのか事故なのか、わからないけれど、もし誰かが責めを負うべき事柄なら、ぜひ電車代との差額を弁償してもらいたい。が、何百万円の損害が出ているのならともかく、この程度の額なら、運が悪かったと飲み込んでしまうのが普通だろう。

しかし、今はインターネット時代である。クラウドファンディングといって不特定多数から小口の資金を集める仕組みがあるように、小口の請求権を集めて債務者に弁済請求できる、クラウド損害賠償請求という仕組みはできないものだろうか。一本の電車に何人乗客が乗っているのか知らないが、一人千円の損害でも、何百人とかき集めれば、結構な額になるのではないか。ITベンチャーでこういう事業を行っているところはないのか。何なら私が起業しようか。

両国門天ホールの今日の催事は、「フランス6人組結成100周年記念ミニ・コンサート&ライヴ配信」である。フランス6人組というのは、戦間期に活動した作曲家の集団で、そういう人たちがいたということくらいは、門外漢の私も、ジャン・コクトーやエリック・サティの名前と関連付けて聞いたことがある。彼らの曲が収録されたCDの一枚も持っていたかも知れない。

あまり的確な評言を発する自信はないけれど、一言でいえば、瀟洒というかな。ピアノ演奏だけかと思っていたら、アポリネールの詩にプーランクが曲を付けた曲の歌唱もあって、前衛というほど過激な感じもないが、やはりその時代の空気を纏っているようで、どこかパリの小さなピアノ・バーやカフェででもこんな曲を聞いてみたいと思いましたよ。

ミニ・コンサートが終わって、錦糸町に行ったら、地下鉄は何にもなかったように動いていた。

夜の散歩に。桜橋から白髭橋まで歩いて、橋を渡って向こう岸を歩いて戻った。多少の川風もあって、昨日よりはまだ歩きやすい。

いつもの銭湯に寄って帰った。16,839歩。