水出しの味

朝方は雨が降っていたような気がするけど、寝床の中。二度寝、三度寝して起き出す。外はいい天気。

神保町で下車。近年あちこちで新刊書店が消えている。文芸書が売れないとか、雑誌が休刊になるとか、出版関係で景気のいい話はまず聞かない。が、こうして大量の古本が書架に並んでいるのを見ると、仮に今後新刊本が出なくたって、私など死ぬまで読む本には困らないなと思う(だいたい、既に自宅にある本だって、全部読めるか怪しいものだが)。そのためにも、神保町の古書街が(あと早稲田も)空襲で焼けるような世の中にはならないよう願う。

水出しアイスコーヒーとサンドイッチで一休み。水出しの有難味は正直わからないけど、はにかむように勧めてきた店員さんの応対に気持ちが和む。

東京国立近代美術館には、この頃は神保町から歩く。以前は竹橋で降りていたが、大手町乗換で迷路みたいに駅構内を歩かされるよりは、神保町から歩いたほうが気分がいい。

ピーター・ドイグ展に。結構入っている。もしコロナ禍がなければもっと入っていたのか、それとも待ちかねたという感じでやってきたのかな。

画家はスコットランド出身で、カナダとトリニダードトバゴに在住経験があるとか。また、ロンドンの画学校時代、イングリッシュ・ナショナル・オペラ(英国国立歌劇場)でdresser(英語版Wikipedia情報。衣装係?)として働いていたという。このキャリアと重ねて作品を見ると面白い。

2階で北脇昇の展示を見る。小企画とはいうものの、これだけまとまった数の作品を見たのは、1997年のやはり東京国立近代美術館での回顧展以来だろう。北脇の作品というと、有名な『クォ・ヴァディス』を思うが、今回の展示から受ける印象は、それとはまた違うものだ。理科の教科書の図版のようなタブローからは、戦前と戦後の時代の変化を感じない。普遍的な世界の原理を一枚の絵で説明しているようだ。

館内にいる間に雨が降ったようだが遭わずに済んだ。帰途日本橋で途中下車して買い物。帰宅して夜の散歩からの銭湯、今日はA湯。

散歩道の公園脇にパトカーが停まっている。何かと思うと、スケートボードを持った中高生位の若者5~6人ほどが警官に促されて解散しているところ。スケボー禁止の場所で遊んでいるのを誰かに通報されたのかな。スケボーに興じる若者たちの姿をしばしば目にするようになったのも、隅田川沿いを散歩するようになってからだ。19,598歩。