NISSAN PAVILIONから歩いて新高島駅へ。駅構内にあるBankART Stationには初めて来た。
川俣正さんがこれまで手掛けたプロジェクトの記録が展示されている。おそらくこれらのプロジェクトの背景には現代の社会や都市に対する深淵な考察があるのだろうが、私などは単純に「秘密基地」みたいだなあと思いながら見ていた。
ご多分に漏れず、私も小学生の頃、校庭にある大きな木の根っこの窪みに板切れ等を持ち込んで拡張して、秘密基地を作って悦に入っていた。あと、これは雪国に限るけど、かまくらというのも一種の秘密基地ではないかと思う。なんだろう、自分の家の他に居場所が欲しかったんだろうか。
同時に、都市の中に材木が積みあがった写真を見ながら、先の大震災から程無く、小名浜や気仙沼を訪れて目にした、瓦礫の山を思い出さないでもなかった。今回の一連の展示は『都市への挿入』と題されているけれど、人為でなく自然の圧倒的な力で挿入される場合もある。
新高島駅からみなとみらい線で、馬車道駅へ。
馬車道駅の構内に積み上げられた工事用の足場。
駅の構内には、川俣展とは別の企画で、動物をモチーフにした作品が点在していた。
これは開発好明さんの作品。
ピアノの音にひかれて近づくと、ストリートピアノをやっていた。
構内には傘が点在している一角もあった。最初、この傘も作品なのかなと思ってしまったが、そんなわけはなく、傘の陰にはホームレスの人が居着いているのだった。まあでも、いっそこれも作品ということにしてはどうか。クリストの傘というのもあったでしょう。
駅の外に出た。
こうして後から写真を見ると、古い銀行の建物がバリケードで封鎖されたようでもある。かつての学生運動で東大や京大の校舎が封鎖された様子を想起しないでもない。むろんここには学生も機動隊の姿もない。このバリ封は何から何を守ろうとしているのだろう。