雨の土曜日。空き缶を出して、荷物を受け取り、フライパンでブロッコリーとかぼちゃを焼いて食べた。その後うとうと。午後から外出。
雨水市民の会の事務所のラックに置かせてもらっていたストリートピアノのチラシを回収。森脇さんの軒下作品が撤収されている。拙宅も片付けなければ…。
国立劇場10月歌舞伎公演に。歌舞伎座では先月から公演が再開されていたが、国立劇場は今月の公演がコロナ後初となる。今日は第二部の『新皿屋舗月雨暈―魚屋宗五郎―』と『太刀盗人』を見る。
魚屋宗五郎を演じるのは尾上菊五郎丈。正直、こんなに若々しく躍動する菊五郎丈の姿を見られるとは予期していなかった。
国立劇場で菊五郎丈というと毎年正月恒例の菊五郎劇団の芝居だが、少なくとも私が見るようになってからの正月公演では、菊五郎丈は舞台を締める重鎮として存在感を示してはいたけれど、自身が中心となって生き生きと動きまわるという感じではなかった。失礼ながら、年齢を考えれば、それも仕方ないのかなと思っていた。菊五郎丈は今月で78歳になられたという。
しかし今回の芝居で、まさに主人公の宗五郎役を、いかにも江戸っ子の魚屋らしい胸のすく口跡で演じ、桶を手にした立ち回りもこなして、見ていて年齢を感じさせるところがなかった。78歳での芝居がこうなら、劇中の宗五郎の父親、太兵衛の台詞ではないが、菊五郎丈が今より「もう二十年も若けりゃ」、一体どんな芝居を見られたのだろうと思われた。
魚屋宗五郎は、国立劇場では平成28年、というから2016年6月の歌舞伎鑑賞教室で、当時の中村橋之助さん、現芝翫さんが演じるのを見たことがある。4年前の芝翫さんだから、さすがに劇中の宗五郎と同年齢とはいかなくても、実年齢と重ねて見ても違和感はなかったが、必ずしも役の年齢と近ければいいというわけではないのが、歌舞伎のマジックである。実際、今回の芝居でも、太兵衛を演じていた市川團蔵さんは菊五郎丈より9歳も若い。どこか陰を感じさせる芝翫さん(もちろんそれが魅力である)とは違う、まるでテレビの時代劇のように(こういう言い方も変だとは思うが)痛快に演じる菊五郎丈の宗五郎を、これがこの芝居の形なんだと得心しながら見ていた。
『太刀盗人』は松羽目物の演目。尾上松緑さんの演じるすっぱ(すり)の九郎兵衛の憎たらしさったらない。地方人の私としては、坂東亀蔵さんの演じる遠国から京に出てきた田舎者万兵衛のほうにどうしても感情移入してしまう。二人で連舞(つれまい)をすることになり、万兵衛の動きを真似しながらワンテンポずれて舞う九郎兵衛の動きの可笑しさ。最後、あの太刀はどうなるんだろう。もう万兵衛の許に戻ることはないのか?そんなことを思うと、気持ちがもやもや。
夜は楽天地スパへ。サウナや風呂はほどほどに、ぼんやり音楽など聴いて過ごす。5,350歩。