真室川

尾っぽの長い鳥が電柱と植木の間を行ったり来たりしている。こんな時、さっと名前が出るといいんだけど。おそらく鳥の名前を言葉としては知っているのだろうが、実際の鳥と結び付かない。それは知っているということなのだろうか。

朝は駅そば。旨い不味いもない、ということはまずまず旨い。昔は明らかに不味い駅そばも少なくなかった。

昼はパスタ。二食続けて麺類になってしまったがやむを得ない。アラビアータの具は里芋の茎、いもがらというやつ。山形産らしい。勧められて最初は気乗りしなかったが、食べてみると、鄙びた味わいでなかなかいい。里芋の茎は私の田舎では、ずいきの酢の物として食べることが多かった。アラビアータのトマトの赤が、酢の物の色の赤と結び付かないこともない。

メニューには山形としか書いてなかったけど、こんなパネルが店内に置いてあるということは、山形でも真室川の産なのかも知れない。今度厨房の手が空いている時に聞いてみよう。

真室川には特に縁はないけれど、真室川と聞くと、上方の桂吉弥さんが、民謡の真室川音頭を出囃子にしているのを思い出す。吉弥さん自身も真室川とは縁はなかったのが、この民謡を気に入って、出囃子に使っているうちに、ご当地とのご縁ができたというから、面白いものだと思う。

確か吉弥さんは「まむろがわ大使」に任命されていたと思って検索してみると、へえ、柳家小袁治さんも大使なんだ。こちらはおかみさんのご実家が真室川らしいが、町関係者に余程落語好きがいたのだろうか。

山形といえば今年は山形ビエンナーレの年で、前回、前々回と訪れる機会があったのだが、今年はオンライン開催になって、気軽に山形に行ける状況でもなくなってしまった。

夜は錦糸町で所用の後、オリナスのスタバで休憩。二杯目が割引になるクーポンを使ったのは初めて、いや二回目かな。

1時間だけ楽天地スパに。サウナ室のテレビで駅のホームでいか飯を食べるドラマをやっていた。清算時にポイントの使用を勧められたけど、特に期限があるようでもないし、何だったんだろう。10周年のクイズに応募して退館。 6,488歩。

マスク効果

朝4時過ぎに目を覚ました。少々早いが、思い切ってサウナに。さすがに客は私のほかには、もうひとりいるかという程度。深夜から早朝の人気のないサウナはいい。

そのうち空の色が変わり始めた。ジェットバスに入りながら、窓越しに見る朝の空が美しい。こんなに美しかったかと思う。スカイスパというのはこういうことだったかと勝手に名前の由来を考えてみる。

そうか、サウナ室の窓から外を見ると、景色が開けているから、どうしても空と海や建物とが接するあたりに目が行ってしまうが、ジェットバスの位置では窓から見えるのは空ばかりである。それで空の美しさが目に残るのだろう。これもある種のマスク効果なのだろうか。

サウナ室と水風呂を出たり入ったりして、椅子でうとうとしているうちに、気がつくと7時が近い。慌てて退館。

サウナ施設を出る時に毎度思うのだが、これで十分サウナに入った、しばらくサウナはもうたくさん、という気分になることがない。必ず、もう少し入っていたかった、という思いが残る。一度、これでもかというまでサウナに入っていたいものだ。

横浜駅から京急で高砂行きに。これなら京成曳舟まで乗り換えなしで行ける。電車は思いの外混んでいて、コロナ禍以前の混みようはこんなものじゃなかったんだろうなと思う。品川で座れた。

この後は巣ごもり日。 諸々終えてから散歩に。

桜橋を渡り、一葉桜・小松橋通りに入った。まだ18時台だがすっかり暗い。それでも街は夜の散歩の時とは少し違う面を見せる。金美館通りを歩いて、鶯谷のサウナセンターあたりで引き返した。もう1時間早く歩き出せれば、このあたりで寄ってみたい喫茶店もあるのだが。

行きつけの銭湯は、先週はロッカーの改装で休業していたので、一週間ぶり。少々早い時間からたっぷり入って、倶利伽羅紋紋も堪能した。変わり湯はしょうが風呂。

そしてこちらも久し振りに、通りから少し入ったバーに寄って休憩。氷の入らない生ハイボールというのがちょいといい。今度は一杯目からこれにしようと思う。 ほろ酔いで帰宅。15,152歩。

バリ封

NISSAN PAVILIONから歩いて新高島駅へ。駅構内にあるBankART Stationには初めて来た。

川俣正さんがこれまで手掛けたプロジェクトの記録が展示されている。おそらくこれらのプロジェクトの背景には現代の社会や都市に対する深淵な考察があるのだろうが、私などは単純に「秘密基地」みたいだなあと思いながら見ていた。

ご多分に漏れず、私も小学生の頃、校庭にある大きな木の根っこの窪みに板切れ等を持ち込んで拡張して、秘密基地を作って悦に入っていた。あと、これは雪国に限るけど、かまくらというのも一種の秘密基地ではないかと思う。なんだろう、自分の家の他に居場所が欲しかったんだろうか。

同時に、都市の中に材木が積みあがった写真を見ながら、先の大震災から程無く、小名浜や気仙沼を訪れて目にした、瓦礫の山を思い出さないでもなかった。今回の一連の展示は『都市への挿入』と題されているけれど、人為でなく自然の圧倒的な力で挿入される場合もある。

新高島駅からみなとみらい線で、馬車道駅へ。

馬車道駅の構内に積み上げられた工事用の足場。

駅の構内には、川俣展とは別の企画で、動物をモチーフにした作品が点在していた。

これは開発好明さんの作品。

ピアノの音にひかれて近づくと、ストリートピアノをやっていた。

構内には傘が点在している一角もあった。最初、この傘も作品なのかなと思ってしまったが、そんなわけはなく、傘の陰にはホームレスの人が居着いているのだった。まあでも、いっそこれも作品ということにしてはどうか。クリストの傘というのもあったでしょう。

駅の外に出た。

こうして後から写真を見ると、古い銀行の建物がバリケードで封鎖されたようでもある。かつての学生運動で東大や京大の校舎が封鎖された様子を想起しないでもない。むろんここには学生も機動隊の姿もない。このバリ封は何から何を守ろうとしているのだろう。

半年ぶり

横浜へ。京成曳舟から乗り換えなしで行ける電車に乗った。東京と神奈川の県境を越えるのも半年ぶり。

縮こまった身体を徐々に伸ばしていくように、コロナ禍で一気に狭くなった行動範囲を、自分の家の周りから始まって、一歩一歩確めるように、時間をかけて、慎重に拡げている。ある意味では、今ほど交通機関のなかった頃の人の視点を追体験しているようでもある。その過程で、今まで見落としていた風景がずいぶん目に入るようになった。

とはいえ、電車に乗ってしまえば程なく横浜である。この時間感覚は、おそらく戦前あたりに電車が走るようになってから、そう変わらないのだろうと思う。

能書きはさて措き、まずは腹ごしらえ。せっかくなので横浜らしいものということで、サンマーメン。地下街の小さな中華料理屋で。

そごうとスカイビルの間を抜けて、みなとみらい地区に至る人道橋(はまみらいウォークというらしい)を渡った。橋の上からスカイビルを見上げて、あのあたりがスカイスパかなと思う。

橋を渡ると日産グローバル本社ビル。ギャラリーを見下ろしながらビルの中を通り抜ける格好になる。

ギャラリーと言っても日産車のギャラリーだが、美術作品もある。日産アートアワードの過去の受賞作が展示されている。

毛利悠子さんはこんなデュシャンピアンだったのかと思う。レディメイドの車輪が組み込まれた作品は、大ガラスのようであり、モレモレの落ちる水は「遺作」を思わせるようでもある。

田村友一郎さんという人の作品は、この場所に置かれると自動車のエンジンがむき出しになっているようである。

さらにグローバル本社から少し歩いで、NISSAN PAVILIONに向かう。

フェアレディZプロトタイプは今日までの展示。

ちなみにこのエントリーのトップの写真は、リツイートして貰ったオリジナルマシュマロ。

ホールで映像を見たりしているうちに、結構時間を過ごしてしまった。

5年前の私

夏の服をまとめて洗濯した。半袖シャツも短パンもまた来年。

玄関の呼び鈴が鳴って、届く予定の荷物はさっき受け取ったし、何だろうと出ると、知らないおじさんが立っている。聞くと、軒下の作品を見に来た人らしい。表の鉢植えがそれであることを伝えたが、わかっていただけただろうか。こんなふうに応対したのは初めて。

icouの様子を見に行くと、さっきのおじさんはこちらにも来て絵を描いていったらしい。なんでも大工の棟梁(北條工務店ではない)で、もともとこの辺の生まれだったが、今は錦糸町あたりに住んでいる人だとか。

近所を散歩。通りの雰囲気がちょっと変わったなと思ったら、夏の間店を閉めていたおでん屋が営業を再開していた。

あ、猫。

近づいたら、すたすたと逃げられた。つれないなと思うが、そもそも猫はつれないものと思っておくのがよいのだろう。

こういう静物は写真を撮っても逃げない。

今日見かけた2匹目の猫。

錦糸町へ。

楽天地スパで休息。

週末だけあって、ずいぶん入っている。夜になると客入りは一旦減って、さらに遅い時間になると若い客を中心にまた増えてくる。このまま朝まで過ごすのだろう。

楽天地スパは10周年とか。とはいえ、私自身は最近4,5年の客でしかない。まだそんなものかと意外に思う。自分でも、もっと前から通っているような気がしていた。それくらい、今の私にはサウナのない生活は想像できない。さあ、5年前の私は、サウナで過ごす代わりに、どんなふうに時間を過ごしていたんだろうか。まったく思い出せない。

夜明かしの客と入れ替わりに、日付が変わる前に退館。5,086歩。

お代わり自由

やや寝坊気味だが、雲ひとつない秋空に駅に向かう足が止まる。朝はコンビニのサンドイッチ。

昼はナスとパルミジャーノのグラタン。

この店のランチメニューでグラタンは珍しい。耐熱容器は思っていたより小ぶりで、さすがにこれでは物足りないと思われたが、パンがお代わり自由で付いてくる。むしろ主役はパンのほうで、グラタンはパンにつけるソースと言えなくもない。確かにパンはなかなか旨かった。オリーブオイルでも付いていればさらによかったが、それではパンに伸びる手が止まらないかな。

夜は諸事情からお酒を少し。飲んだ後は散歩やお風呂は控える。6,792歩。

疲労

朝は久し振りにタクシーに乗ったのは内緒。おかしいな、それなりに時間に余裕はあったつもりなのに、気がついたらいい時間になっていた。

コンビニ前でタクシーを降りて、ついでに朝飯にサンドイッチ等を買う。以前はこのコンビニをよく使っていたけど、駅から区バスに乗るようになってからはご無沙汰していた。

昼はポークソテー。お味噌汁をお替り。

街角に蓮の花が咲いていた。

昨日たくさん歩いた疲れが出たようで、身体がだるい。何か甘いものを食べたくなってコンビニでシュークリームを買い食いしてしまうくらい疲れを感じる。夜の所用はキャンセルさせてもらう。

それでも、夕方になると日中よりは多少マシになった気がするので、月いちで行っている医院と薬局に寄って、その足で歩いて帰る。

水戸街道沿いの古本屋さん。何年前からやっているのかな。一、二度立ち寄って本を買ったこともあるが、店の照明に引き寄せられて、かなり久し振りに入る。そうか、日が落ちるのが早くなったから、余計に明かりが目に留まるんだ。

長年あちこちの古本屋を覗いているので、書架を見てわくわくすることも少なくなってきたけれど、ここの本の揃えはなかなか面白い。へえ、こんな本が出ていたんだという発見があるのは嬉しい。今日のところは財布を出すのは我慢して、また出直すことにしましょう。

帰宅後は飯を食って寝て体力回復に努める。8,025歩。

人体の驚異

昨夜はよく寝て早く目が覚めた。朝の散歩に出掛ける。上が半袖のTシャツだけでは寒い。長袖Tシャツを重ね着するのは今シーズン初。

近所にあるけど一度も入ったことのないお寿司屋さん。コロナ禍以降、ずっと休業していたのが、再開したようだ。こうやって表に黒板を出しているから、前を通る度気になっていたけれど、まずはよかった。

この花の名前が思い出せなかった。そうそう、オシロイバナ。紫紅色が目に鮮やかだが、白地に紫紅色の斑が入ったり、差し色のように紫紅色が入ったりしている模様もある。いかにも理科の教科書に出てきそうな変化だが、突然変異によるもので、必ずしも遺伝の法則には従わないらしい。

いつもの散歩道。桜橋から隅田川沿いを歩く。

白鬚橋を渡って汐入公園に。

彼岸花が咲くのを見たのは今年初めてだと思った。

日が高くなるにつれて少し暑さを感じるようになってきたが、さすがに夏の日射しの強さはない。

水神大橋を渡って墨田区側に。高架下を歩く。

仮設の住居が整然と建ち並んでいる。まるで分譲されたみたいに枠内に収まっている。これだけ端正に建てられていると、ホームレスというより、むしろホームと言いたくなる。

このロータリーは土曜日に見た『SECTION 1-2-3』に出てなかったか。何か実用性があるのだろうかと思って見ていたら、タクシーが一周して出ていった。

再び白鬚橋を渡って、今度は台東区側に。

ムーミンのニョロニョロというのはこんな姿じゃなかったか。メカニョロニョロ。

巣ごもり日の昼は有り合わせで簡単に済ますことが多いのだけど、今日は珍しく外に。

鐘ヶ淵の二階の食堂が、今日限りでこの場所での営業を終了するというので、ランチを食べに来た。実はここで食事をするのは初めて。

所用を終えて、夜の散歩に。

川沿いで剣道の練習?をしている子供たちがいた。

途中まで朝と同じルートを歩いて、今度は汐入公園で引き返さず、北千住まで歩く。

古そうな建物に出くわした。NTTの建物のようだ。

大黒湯に。歩いてきたのは二度目。拙宅から1時間半かからず歩ける。最短距離を行けばもっと早いのだろうけど、なるべく人通りや車通りの多い道を避けて歩いた。

露天風呂と水風呂を繰り返して、1時間程過ごした。

全身に刺青を入れた恰幅のいい人が、かかとを擦っている。かかとにはもちろん刺青は入っていないけれど、刺青を入れている部分の皮膚だって、いずれ垢になって剥がれていくだろう。それなのに刺青の色が落ちないのは、考えてみれば不思議である。皮膚が入れ替わっているメカニズムの、さらにその奥深くに色が沈着しているということか。人体の驚異を感じる。

帰りも歩くことにした。何故か行きより足取りが軽やかである。

が、調子にのって歩いていたら、右足の親指と人差し指の間に水ぶくれができてしまった。長風呂をして足の皮膚が柔らかくなったせいもあるだろうか。違和感を気にしながら、なんとか帰り着いた。

30,031歩。久し振りの三万歩超え。ざっくりと、朝一万歩、夜の銭湯行きに一万歩、帰りにもう一万歩ということになる。