丸い革

ほどほどに起き出して外出。影が長い。

そこかしこで交通量調査をしているのを見た。駅の構内でもやっている。

半蔵門へ。今日は国立劇場12月歌舞伎公演の第一部を見る。

第一部は「三人吉三巴白浪」。

半蔵門駅上の中華料理屋で昼飯。この店には初めて入った。食後、九段下で新宿線乗り換え、初台へ。

東京オペラシティアートギャラリーの石元泰博展へ。

新宿で湘南新宿ラインに乗り換え、恵比寿へ。LIBRAIRIE6で大月雄二郎展を見る。

『オブジェの店』と題された新刊書が目に留まった。「瀧口修造とイノセンス」との副題が添えられている。著者の寺村摩耶子さんは明学仏文の出というから巖谷國士氏の門下だろうか。この手の本にはどうしても手が伸びてしまう。帯の「無用、無益、無意味、無価値の魅力」という言葉に苦笑。コロナ以後の不要不急を排する風潮が念頭にあるのだろうが。

私なども無用、無価値に強く惹かれる性質だ。もっと言えば、有用、有価値が無用、無価値に転ずる瞬間に、窓から風が入るような爽快感を覚える。

「一方、たとえば尖鋭に研ぎ澄まされた機械が、まったく別の天体に墜落した瞬間の、烈しい価値転換を想ってみるがよい。」(瀧口修造『物々控』)

有用、有価値に押しつぶされそうなこのご時世で、今や食いつめた自称アーティストたちは、食い扶持を稼ぐために自ら有用、有価値になびいている様子。事ここに至っては、アートによる価値転換はあまり期待できそうにない。

だからもう、アートとは言わないほうがいい。

LIBRAIRIE6を辞去する時、今年初めて「よいお年を」という言葉を聞いた。

恵比寿から日比谷線に乗車。入谷で降りて歩く。この経路も馴染みになった。

千束まで来て、焼きそばとオールフリーで休憩。

いつもの銭湯に。タオルを借りて入る。

湯上りに寄り道。ジョッキの中の丸い革のトークンが12枚で5千円。革一枚でお酒が一杯飲める。今夜は4枚使った。

11,765歩。オペラシティアートギャラリーで、スマホをコインロッカーに入れて一回りして、その分はカウントされてないから、実際はもう少し捗ったか。